若桜鉄道応援歌

キッカケは一つの講演であった

2015年3月24日の夜、私は過疎地のローカル線の利活用をテーマとする「地方創生に向けた若桜鉄道の挑戦」と言うタイトルの講演を池袋のとある会議室で聴いていました。講演者は若桜鉄道(鳥取県)の社長の代表取締役社長 山田和昭氏です。いやあ、面白かったですね。なるほど、なるほどの連続で。鉄道の顧客は、減ってしまった乗客ではなく地域であり、故に鉄道の役割を人員輸送の手段ではなく、地域起こしの道具と捉え、そこから観光競争に勝ち残る為の武器として若桜鉄道を利用すると考える。過疎対策としての移住促進を否定し、地域の産業の活性化の活路を観光に見出す。まず、御講演の導入部の理論武装で感心しました。その後は具体的な実践編ですが、金を掛けずに目立とう、観光客を呼ぼう戦略が御見事でした。僅か数千円の経費でTVが取材に来るようなイベントを実施したり、地元の方をガイドに仕立てて観光列車を走らせたり、驚いたのはSLを走らせる際に、規則上、乗客は乗せられないから、代わりに地元の名物のカカシを乗せた、いや載せた?り、工夫のオンパレードで、お金のない弊社も見習わなければいかんなあと反省しました。

社会実験でSLを走らせるぞ

で、山田社長は御講演の中で、「若桜鉄道が2015/4/11及び12に『SL走行社会実験』を行います。1万人集めますと宣言したので、皆さん来て下さい。」と切々と訴えられました。そう、SL走行イベントを鳥取県からの地域起こし/地方創生の社会実験であると捉えていらっしゃるんですよね。単純な私は「へー、スゲエや。」とすっかり感激し、「よーし、女房を質に入れてでも(今となってはこれは時代錯誤の表現なのでしょうね)」と鳥取行きを決意したのでありました。

鳥取に行くには

威勢良く鳥取行きを決断した割には、直前まで予約を躊躇し、結局、前日に飛行機のチケットを予約したせいか、チケット代は片道3万円を超えてしまいました。地方を応援しに、別の言い方をするにお金を落としに行くのに、その前に3万円もANAに支払わざるを得なくて、改めて地方が置かれている厳しさを感じました。如何に、「首都圏からも近いですよ。」と時間距離の近さを訴えられたとしても、この経費の壁は如何ともし難い。2015/4/10(金)の夜、鳥取に向かう機内で、そんなことを考えていました。

話題の転換

こんな調子で、旅行記を書いていたら、ページ数がいくらあっても足りない。山田社長が社長公募面接の前に宿泊された(そう言えば、山田社長は公募で若桜鉄道の社長に選ばれました)お寺(宿坊光澤寺(こうたくじ)、住職は宗元(むねもと)氏)に宿泊して、生々しい地元情報を教えて頂いたり、一緒に泊まっていた鉄道ファンのグループに紛れ込んで、宴会で一緒に盛り上がったり、話し始めれば色々とあるのですが、いけない、重要なのはなぜ、そしてどの様に、どんなコンテンツを作成したかなので、話しをそれに集中させます。

なぜ、このコンテンツを作ったか

単純に微力ながら若桜鉄道をPRしたかったから。このコンテンツをきっかけに若桜鉄道を知って頂いて、少しでも若桜町を訪れる方を増やしたかった。そう言う思いがあります。山田社長は御講演の中でおっしゃっていました。「若桜鉄道沿線の風景には昭和の香りがそのまま残っている。」と。私もそう思います。その様子を少しでも感じ取って頂きたかった。 とは言うものの、弊社のサイトに置いといても、余り効果は出ないと思うので、その内、機会があったら、山田社長にこのコンテンツを提供しようかと考えています。

どんな、このコンテンツを作ったか

実際に作成したコンテンツを見て下さい。2次元の地図上で、車両の軌跡を動かしながら、それと連動させて車両の前に広がる風景を動画として再生させました。本コンテンツは、GoogleのChromeで閲覧して下さい。

操作方法

YouTubeを再生して下さい。地図の電車のアイコンをクリックすると地図の追尾表示のオン/オフを切り替えることができます。

どの様に、このコンテンツを作ったか

弊社は、GIS(地理情報システム)の開発を得意とする技術者集団です。ですから、コンテンツは、2次元の地図とパノラマビューから構成されていますが、2次元の地図(時間と伴に動く車両の軌跡も含めて)は弊社の得意分野です。 よって、パノラマビューの素材となる動画さえあれば、あとは何とかなります。という訳で、車両の前の風景の動画を、私自身が現地入りし、下図の通り、撮影して来た訳です。



ここで、撮影中には、カメラの位置として、スマートフォンのGPS情報を弊社のサーバーにリアルタイムに送信して記録していました。撮影した動画は、個人のプライバシーの問題があるため、動画編集により、沿線の方々の顔だけぼかしました。

最後にオマケ:社会実験はどんな様子だったか

社会実験の様子を撮影して来た写真で描写してみました。

4月11日の風景


運転席です。


運転席の反対側にカメラを置きました。


撮影スポットに集まる鉄道ファン達。私も自然に混ざり、広島から来た鉄道ファンと会話しました。


第1回目の走行です。1回目はディーゼルが引っ張っています。実は、SLは牽引出来ず、第2回目の本走行でもディーゼルが後ろから押しています。そう、私も今回初めて知ったのですが、SLで本当に牽引させるには、ものすごくお金が掛かるのです。


この通り、乗客はカカシです。ただ、ディーゼルが引っ張っているせいか、もしかして右端にいるのは生身の人間?


当日は、この通り、報道のヘリも飛びました。


第2回目の本走行です。ご覧の通り、後ろからディーゼルが押しています。


撮影スポット近くの徳丸駅では、地元の人達が、独特の装束でイベントを盛り上げていました。


当日は、この通り、車も渋滞しています。お陰で、バスがきちんと来てくれるのか非常に心配でした。地元の方も驚いたでしょうね。ワッ。渋滞するんだって。


終点の若桜駅では、特製弁当が販売され、露店が多数出店され、トークショーも開かれ、子供向けの戦隊モノのヒーローも出ていました。


この通り、鉄道を使った地方創生をテーマにした特別講演が開かれました。たっぷりと4時間、面白かったです。


夕方、人がいなくなった終点の若桜駅。いつもの物静かな駅に戻ったのでしょう。


宿泊した宿坊光澤寺(こうたくじ)の最寄りの丹比駅でのカカシ。とっぷりと暮れた暗い駅構内で突然出くわしたカカシはちょっと不気味でした。

4月12日の風景


イベント成功を伝える翌4月12日の「日本海新聞」の紙面。参加人数はめでたく1万人を超えたようです。メデタシメデタシ、良かった良かった。


宿泊した宿坊光澤寺(こうたくじ)の朝の本堂。前日は鉄道ファンが多く泊まり賑やかだった宿坊も今は静かです。左側の中程奥の机で、写経をさせて頂きました。奥にある写真パネルは、なぜかテーマがブータンでした。


宿泊した宿坊光澤寺(こうたくじ)の正面の風景。

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