邪馬台国の所在地、及びそこに至る道程については、古来多くの学説があります。 その数は100を下らないでしょう。その邪馬台国の所在地、及びそこに至る道程をGIS技術を利用して 検討してみようと言うのが、ここに提案するアプリケーションの趣旨です。 |
図1_1システムのイメージ(衛星画像は東海大情報技術センターHPから借用) |
皆さんは、邪馬台国について、なぜその所在地が決まらないのか不思議に思ったことはありませんか?
魏志倭人伝には、邪馬台国までのルートがその方位と距離と伴に記されています。
邪馬台国に至るまでに通過する9ヶ国(邪馬台国を含む)の内7ヶ国までは、その位置についてほぼ統一された見解があります。
それにも関わらず、邪馬台国はどこにあるのか分からない、しかもこともあろうに、九州と近畿と言うように距離にして500kmも離れた地点間での決着すらついていない。
これって不思議だと思いませんでしたか。私は、邪馬台国の所在地の論争について初めて知った小学生以来、これまでの人生の間、ずっとこのことが心に引っ掛かっていました。 |
図 2_1魏志倭人伝に記載されているルート |
3.1. 所在地論争のポイントを理解出来ます |
そもそも、なぜ邪馬台国の所在地論争が始まったのか?そのきっかけは単純です。
要は魏志倭人伝をそのまま素直に常識に従って解釈したら、邪馬台国が九州を飛び出して、南の海上に出てしまったからです。
全ての問題はここから始まるのです。また、こう言う人もいます。『魏志倭人伝の記載において、
不弥国から投馬国、或いは投馬国から邪馬台国に向かう際の方向が「南」でなく「東」だったら、邪馬台国畿内説で簡単に決着が付いたであろうに。』と。
まず、邪馬台国の所在地論争のきっかけになったこの問題を地図を用いて利用者の方には理解して頂きます。 |
3.2. 専門家の学説を検証出来ます |
本アプリケーションを利用することで、既存の学説の内容を、その根拠及び魏志倭人伝内に記載されている事項(特に距離と方位)と関係付けながら、 理解することが出来ます。そのため、専門家の学説を地図(正確に言うと人工衛星画像)の上に表示したり、その学説が利用している仮定や根拠を文字表示します。 これにより、例えば途中の国の位置を地理的に理解出来ます。このルートの地図表示においては、複数のルートを重ね合わせることも可能なので、お互いのルートの比較も可能です。 |
図 3_1学説検証機能のイメージ |
3.3. 自分なりの学説を組み立てられます |
利用者自身の学説(邪馬台国までのルート)を作成して、学説DBに登録出来ます。具体的には、前々項で言及したポイントに対応した質問に対して解答して行くことにより、 半自動的に利用者自身の学説が作成出来る様にシステム化されています。つまり利用者側から見ると、ウイザード形式の操作により、邪馬台国までのルートが構築出来るのです。 |
図 3_2学説構築機能のイメージ |
4.1. どの様に使うの? |
想定する利用者や利用局面としては、以下の2通りを考えています。 |
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4.2. 複雑な論争の流れをシステムで表現出来るの? |
よくぞ、尋ねて下さったと言う思いの質問です。確かに論争の流れは複雑です。何せ、論争の対象は種々の解釈を許す魏志倭人伝や複雑な学説の構造、体系なのですから。 従って、それを如何に分かり易く、しかも要点は漏らさず利用者に伝えるかには非常に神経を使っています。 つまり、省略し過ぎても駄目、かと言って特殊な学説に代表される枝葉にこだわり過ぎても駄目、適度に抽出されたエッセンスを、GISを使って、小学生でも分かるように如何に伝えるか、 これが本アプリケーションの唯一にして最大のノウハウであり、それに対してある程度の解答(無論、完全最適解では無いかもしれませんが)を導くことが出来たと感じたため、 今回の募集に応募しました。従って、上記の問いに対する答えは「Yes」です。 |
4.3. 使っていて本当に楽しいの? |
それについては、正直に申し上げるに「出来上がりを期待して下さい。」としか申し上げられません。
でも、本アプリケーションの基本構想を立てるために、邪馬台国論争について調べている間は、実に楽しい時間を過ごせましたし、
かつ自分が調べた内容を如何にシステム表現するか考えている間も非常に楽しかったです。
従って、設計者が楽しんで設計したシステムは多分利用者も楽しいだろうと勝手に楽観しております。 |