日本測地系2000座標変換アルゴリズムの拡張
 
4.組み合わせモードの利用可能性の検討
 
さて、国土地理院が提供する座標変換プログラムには、精密変換モードが可能な間は、精密変換モードで、そうでないと近似変換モードで計算すると言う、言わば組み合わせモードも実装されています。そこで、次の解決策としてのこの組み合わせモードの利用可能性を検討するために、精密変換モードと近似変換モードの両者が算出する座標値の差を調べようと思いました。具体的には、日本全国をカバーする2次メッシュ内に均等にサンプル点を発生させ、このサンプル点群について、精密変換モードと近似変換モードの双方で座標変換を行ないました。両モードによる座標変換結果の乖離距離に関する頻度分布と統計値はpdfファイルに示されています。
これによると、同一座標値に対して、両モードが算出する座標値には、平均で約3.5m、最大で800m近い差が発生することが分かります。数値地図25000(地図画像)では、1画素がおよそ地上では2.5mのサイズに当たりますから、平均して1画素以上のずれが発生することになります。この結果、単純な組み合わせモードでは、幾何補正後の画像内の両モードの境界線付近で、図 1に示すような、ズレが発生する危険性があることが分かります。よって、この組み合わせモードも使えないと判断しました。


図 1 変換モードの違いによるズレ

 

 

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